今週のだるまさん

掬水月在手 弄花香満衣

160912_mizuwokikusureba

 
[みずをきくすればつきてにあり  はなをろうすればこうえにみつ]唐の詩人良史(うりょうし)の詩に出てくる句で、本来は春の夜の優雅さを詠じたものです。月は悟りの象徴、月光は仏法にもたとえられます。水を両手ですくえば、月が手に一杯。花をもてあそべば、全身に香りがいっぱい。分別のない世界を表します。
 
間もなく中秋の名月です。
 
満月は悟りの象徴でもあり、禅の道場でも特別な法要が執り行われます。退蔵院でも毎年お茶会を催しているので、お月様を拝ませていただいていますが、最近はあまり名月を鑑賞する人がおられないようです。月光も野の花の香りも誰にでも平等に届いているのに、それに気づかない。手に水を掬えば月は手の中に。野の花と戯れれば、香りでいっぱいになる。
 
身近なものを楽しみ、美しさを感じることができれば、人生はもっと豊かになります。
 
“mizuwo kikusureba tsukiteniari hanaworousureba kouenimitsu ”
I scoop up water and the moon is in my hands.  I play with flowers and their fragrance clings to my robes.
 
 

まつやまだいこう●京都生まれ。東京大学大学院農学生命科学研究科修了。2011年日本の禅宗を代表しヴァチカンにて前ローマ教 皇に謁見、2014年には日本の若手宗教家を代表してダライ・ラマ14世と会談し、世界のさまざまな宗教家・リーダーと交流。2014年より世界経済 フォーラム年次総会(ダボス会議)に出席するなど、世界を股にかけ、宗教の垣根を越えて活動中。次世代を代表する若手宗教家の一人。著書に、『大事なこと から忘れなさい ~迷える心に効く三十の禅の教え~』など。
 
文=松山大耕 写真=伊藤 信 イラスト(だるま)=瞳堂
 
 

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