今週のだるまさん

十年帰不得 忘却来時道

170619_jyunenkaerukotowoezaraba_raijinomichiwoboukyakusu

 
 
[じゅうねんかえることをえざれば らいじのみちをぼうきゃくす]十年もの間、修行の旅を続けてきたら、ついにどちらに帰るのか道を忘れてしまった。達人の境地。
 
 
私が師匠と仰ぐ和尚さんは、長野の雪深いなかで檀家1軒もなく観光収入もないお寺で、托鉢だけでお寺を護持されていました。
そのかわり、信者さんは大勢おられましたので、たまにお葬式を依頼されることもありました。たまたま居候させていただいていた私に和尚さんが、真剣な顔で「お葬式のお経は全部忘れてしまったから、代わりに行ってきてくれ」とおっしゃったことがありました。
 
私はビックリ仰天してしまいましたが、あとからよく考えると、お坊さんの本質は葬式をすることではないよなと気づきました。
 
とにかく、囚われのない、すばらしい和尚さんでした。
 
 

“jyunenkaerukotowoezaraba_raijinomichiwoboukyakusu”
 
For ten years I couldn't return.  Now I've forgotten the road by which I came.
 

まつやまだいこう●京都生まれ。東京大学大学院農学生命科学研究科修了。2011年日本の禅宗を代表しヴァチカンにて前ローマ教 皇に謁見、2014年には日本の若手宗教家を代表してダライ・ラマ14世と会談し、世界のさまざまな宗教家・リーダーと交流。2014年より世界経済 フォーラム年次総会(ダボス会議)に出席するなど、世界を股にかけ、宗教の垣根を越えて活動中。次世代を代表する若手宗教家の一人。著書に、『大事なこと から忘れなさい ~迷える心に効く三十の禅の教え~』など。 
 
文=松山大耕 写真=伊藤 信 イラスト(だるま)=瞳堂
 

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